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10年目のプロポーズ
もうすぐ10年目の結婚記念日がやってくる。
「10年目の記念に、何か欲しいものある?」と妻に聞いたら、「ちゃんとプロポーズして欲しい」という返事。
小さなダイヤモンドくらいは覚悟していただけに、びっくりすると同時にちょっと拍子抜け。
「プロポーズして欲しいって…、じゃあなんで僕たち夫婦になったんだ?」
結婚してすぐに子供ができて、仕事と子育てに追われてきた僕たちは、今まで結婚記念日を祝ったこともない。
10年も夫婦をやってきて今さらという気もするが、雑誌を見たり、会社の女性たちにリサーチして、内緒で準備を進める。
家では何事もなかったかのような毎日が続く。
妻もこの前のやりとりを忘れたように振る舞っていたが、「明日はデートに出かけるぞ」と言うと、ハッとしたように僕を見つめた。
10年目の結婚記念日前日は、おあつらえ向きの日曜日。子供たちを僕の両親にあずけて、海辺のレストランで食事。そして浜辺を散歩。ふたり並んで腰を下ろし、意を決して何度も何度も書き直した妻への手紙を取りだした。
サチコへ
早いもので明日は結婚10年目。
ふたりとも忙しく過ごしてきたので、あっという間だったね。
初めて君の家を訪れた時に感じた「この娘と結婚するなぁ」という予感はアタリました。
それから親や周りの人たちのおかげで、結婚話がバタバタと進んで、そういえば、ちゃんとプロポーズしていなかったね。
10年目の記念に「きちんとプロポーズして欲しい」と言われたのには正直、驚いたよ。 口下手でテレ屋の僕は何となく流れに任せて、大事な言葉を伝えることから逃げていたんだと思う。だから今日は君のリクエストに応えます。
君にとっては子育てに追われた10年間だったね。
「私の青春を返せ!」と言われないように、もっともっとサチコを大切にしていきたいと思っています。
20年後、30年後も変わらない気持ちで過せるように、もっとたくさんの幸せをふたりで味わうためにずっと一緒にいてください。
いつも僕を信じてついてきてくれて、ありがとう。いつも僕を一番に想ってくれて、ありがとう。
いつも大好きなサチコでいてくれて、ありがとう。
僕から贈るプロポーズの言葉は 「これからも、僕の永遠の恋人でいてください」です。
今ではお互い「父と母」で「夫と妻」だけど、恋人同士の気分は失わないでいたい。
10年目を迎えても、付き合い始めた頃の気持ちと変わらないでいるよ。不思議なくらい…。
たぶん、サチコも同じだと思う。
タカシ
そして手紙と一緒にプレゼントを渡した。
結婚記念日と2人のイニシャルが刻印されたハートのネックレス。
妻は少し涙ぐんでいるように見えた。
レストランでの食事、手紙、指輪…、普段の僕からはありえない行動の数々に、驚きながらも感動してくれた。
ふたりで紡いできたこの10年を大切にして、これからも仲良く歩いていこう。
I LOVE SACHIKO.
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